
外壁塗装は、住宅の美観を保つだけでなく、建物の劣化を防ぎ、長寿命化を実現するために欠かせない工事です。しかし、手抜き工事や不当な追加請求など、トラブルも少なくありません。トラブルを未然に防ぐには、予防が非常に重要です。この記事では、外壁塗装でよくあるトラブル事例を挙げ、予防策や解決方法を詳しく解説します。
外壁塗装に関するトラブル事例
外壁塗装工事は、業者や近隣住民との間で、思いがけないトラブルに直面することもあります。ここでは、外壁塗装のトラブル事例について解説します。
訪問販売による契約トラブル
突然自宅を訪れる販売員に、今すぐ工事しないと建物が危険になるといった言葉で急かされ、高額な契約を結んでしまうことがあります。
駐車スペースの問題
塗装工事のためのトラックの、駐車スペースが充分にないこともあります。業者は遠方に車を停める必要があるため、運搬費用が追加されてしまいます。
近隣住民とのトラブル
足場の組み立てや高圧洗浄作業時の騒音、塗料の飛び散り、業者の態度などが原因で、近隣住民から苦情が入ることがあります。
施工や仕上がりが問題
中塗りと上塗りを同日に終わらせるといった、手抜き工事は大変問題です。また、施工後、イメージしていた色と違うと感じることや塗膜が数か月で剥がれてしまうといった問題が発生するケースもあります。さらに、オリジナル塗料と称して、薄めた塗料を使用するなどの不正が行われるケースもあります。
費用に関するトラブル
よくあるのが、工事が始まった後に、契約には含まれていない追加費用を要求されるケースです。また、前払いを要求する業者に支払った後、業者が連絡を絶つといった、詐欺の事例もあります。
トラブルの予防策・解決方法
外壁塗装を成功させるためには、予防策やトラブル発生時の適切な対応が重要です。ここでは、よくあるトラブルを回避するための予防策と、解決方法について解説します。
クーリングオフを使う
訪問販売などで契約を迫られた場合には即決せず、一度冷静に考えましょう。また、押し切られて契約してしまったケースでは、クーリングオフを検討してください。
駐車スペースを確保しておく
塗装工事には業者の車両が必要ですが、駐車スペースが確保できない場合は、運搬費が追加されることもあります。事前に自家用車を別の場所に移動させておくことで、トラブルを防げるでしょう。予防がむずかしいケースもありますが、業者と相談しながら最善策を見つけることが大事です。
近隣にあいさつしておく
工事中に発生する騒音や塗料のニオイについては、近隣住民への事前のあいさつが重要です。通常、業者があいさつしてくれますが、依頼主自身も直接出向き、工事期間や時間帯をていねいに説明しましょう。
工程と塗料の特性を知っておく
塗装工程と、塗料の特性について知っておくのが、トラブルを避ける理想策です。塗装工程の間には一定期間の乾燥が必要であり、中塗りと上塗りが同じ日に終わることはまずありえません。
塗料メーカーの乾燥時間を確認し、不備があれば契約した業者に連絡してください。工程を省く可能性が高まるため、相場より大幅に安い業者には依頼しないのも予防策のひとつです。
また、塗装後の仕上がりがイメージと異なって感じられる予防策としては、色見本だけでなく、実物サンプルを屋外で確認することが大事です。さらに、オリジナル塗料を使用する業者は注意しなければなりません。見積書に具体的な塗料名が記載されていない場合は、業者を信用しない方が無難です。
また、塗料の飛び散りによる汚損を防ぐため、移動可能な物はあらかじめ安全な場所に移動し、業者に大切なものがあることを伝えておくと安心です。万が一被害が発生した場合には、証拠となる写真を撮影し、業者へ相談しましょう。
専門窓口に相談する
契約内容にない追加費用の請求があった場合、それが業者の見積もりミスによるものなら、支払う必要はありません。毅然と対応するとともに、しつこい場合は国民生活センターなどに相談するのもよいでしょう。
追加工事が必要な場合は、別途見積もりと契約書を交わすことが大事です。また、業者が倒産してしまった場合は、消費者センターへの相談や場合によっては民事や刑事手続きの検討が必要です。基本的に全額前払いを要求する業者とは契約しないようにするのがよいでしょう。
保証を確認しておく
保証を事前に確認しておくことも重要です。塗料の剥がれが発生した際は、保証期間内かどうかを確認し、業者に対応を依頼します。契約時に保証期間を明記させることで、万が一の際にもスムーズに修正できるでしょう。さらに、リフォーム瑕疵保険への加入を業者に依頼することも、安心材料となります。
トラブルが発生した際の相談先を紹介
外壁塗装のトラブルが発生したとき、適切な相談先を見つけることで、迅速に問題解決できます。ここでは、トラブルの内容に応じた主な相談先と、その活用方法について詳しく解説します。
住宅リフォーム・紛争処理支援センター
建築士や弁護士といった専門家が在籍しており、手抜き工事や不当な請求といった問題に関するアドバイスを受けられます。
国民生活センター
訪問販売や過剰請求といったトラブルに対し、アドバイスしています。専門的な建築知識をもっているわけではありませんが、幅広いトラブル事例を基にした解決策を提案してくれるため、初動対応として利用しやすい機関です。
弁護士への相談
法的な手続きや交渉をサポートしてくれるため、トラブルが深刻化した場合の最終手段として有効です。ただし、費用がかかる場合が多いため、各種無料相談窓口を利用した後、最終手段として検討してください。
まとめ
外壁塗装のトラブルを避けるためには、信頼できる業者を選ぶことが第一歩です。契約時には、書面での詳細確認を怠らず、保証内容や費用に関して、納得のいく説明を受けるようにしましょう。また、工事開始前には近隣住民へのあいさつを実施するなど、トラブルを防ぐための準備を徹底することが大切です。それでも問題が発生した場合には、必要に応じて専門機関や弁護士などに相談することで、被害を最小限に抑えられるでしょう。